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2023.01.31
#腎臓内科 #対象疾患

高尿酸血症の治療薬“フェブリク”の特徴とは?効果や副作用、注意点について解説

高尿酸血症は、血液中の尿酸値が通常よりも高くなり、7.0mg/dLを超えたときに診断される病気です。高尿酸血症の治療薬には、尿酸の排泄を促す“尿酸排泄促進薬”、尿酸の産生を抑える“尿酸生成抑制薬”などがあり、検査を行い患者さんに合った薬が処方されます。なかでも本記事では、尿酸生成抑制薬の“フェブリク”の効果や副作用、服用の注意点などを解説します。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

高尿酸血症への“フェブリク”の効果と特徴

フェブリク(一般名:フェブキソスタット)は、尿酸が過剰に作られるタイプの高尿酸血症(尿酸産生過剰型)に処方される“尿酸生成抑制薬”の1つです。体内でプリン体*から尿酸をつくるキサンチン酸化還元酵素(XOR)という酵素のはたらきをブロックすることで、尿酸が作られすぎないようにします。キサンチン酸化還元酵素阻害薬(XOR 阻害薬)とも呼ばれています。フェブリクは1日1回服用することで効果が期待できます。

*プリン体:プリン体は新しい細胞ができるときに必要な物質で、分解されると尿酸となり、尿などとして体外に排泄されます。しかし、1日に尿酸が排泄できる量には限界があり、それを超えると結果的に高尿酸血症になります。

特徴1:ほかの酵素のはたらきを邪魔しない

フェブリクの特徴として、XORにだけ作用する点が挙げられます。似ている構造をする酵素のはたらきを抑えることがありません。XOR阻害薬は、フェブリクが発売される前はアロプリノールという薬が使われていました。フェブリクはアロプリノールよりもXORのみを選択できる能力が高いといわれています。

特徴2:腎臓病がある患者さんにも使用できる

アロプリノールは全身の臓器で代謝され、代謝物として尿中に排泄されていましたが、フェブリクは肝臓で代謝し尿や糞中に排泄されることが特徴です。つまり、腎臓から排泄する以外にも肝臓から排泄することができるため、腎機能障害がある患者さんでも軽度〜中等度であれば減量などの必要なく使用できます。重度の腎機能障害がある患者さんでは、使用にあたり安全性が認められていないので用量の調節などをする必要があります。

尿酸生成抑制薬は尿酸産生過剰型の高尿酸血症患者さんに対して効果が期待できる薬ですが、ある研究では腎機能が低下している方に多いとされる尿酸排泄低下型の高尿酸血症患者さんに対してフェブキソスタット40mgを使用したところ、約50%で血清尿酸値6.0mg/dL未満を達成したことが報告されています。

特徴3:腎機能障害の緩和に効果が期待される

最近の研究からフェブリクが、腎尿細管細胞のATP(体のエネルギー源)再合成を促すことで、腎機能障害の進行を抑える可能性があるといった結果が報告されています。

腎臓はATPというエネルギー源を用いて、生命維持に必要な電解質や水分を尿から再吸収することで体の巡りを一定に保つはたらきをしています。そのため、腎機能障害が起こると、最終的に生命を維持するためには人工透析(人工的に腎臓のはたらきを補う治療)などを行う必要が出てくるため、日常生活に支障をきたしてしまいます。

フェブリクはアデニル酸(ATPの分解によって作られる物質)の再合成をすることで、血流不足に伴うATPの低下を和らげ、腎機能障害の緩和につながる可能性があるとされています。

高尿酸血症での“フェブリク”の副作用

フェブリクを使用すると、薬の作用から急激に尿酸値が下がることが原因で痛風発作が起こることがあります。

痛風は通常、尿酸値の高い状態が続いて足の親指の関節などに尿酸の結晶がたまったり、沈着したりすることで発症します。しかし、フェブリクを使用すると、薬の作用から血液中の尿酸が急に増えたり減ったりして結晶が不安定になり、剥がれやすくなります。剥がれた結晶は関節内を漂い、結晶を処理するために強い炎症が起こって腫れや痛みを感じるようになるのです。

結晶の剥がれを防ぐために薬の量は少なめから始め、様子を見ながら少しずつ増やしていくのが一般的です。痛風発作の予防として予防薬が処方されることもあります。そのほかの副作用としては、肝機能の低下、手足の痛みや不快感などがあります。

なお、副作用はこの限りではありません。詳細については医師や薬剤師に確認しましょう。

高尿酸血症での“フェブリク”服用の注意点

高尿酸血症でのフェブリク服用における注意点を解説します。

医師の指示に従った服用

フェブリク服用中は、自分の判断で飲む量を変えたり、飲むのをやめたりしないようにしましょう。痛風発作が起こった場合も、自己判断で中止したり量を変えたりすると症状の悪化や再発につながる可能性があるので、まずは医師や薬剤師に相談するようにしましょう。手足の痛みや不快感などの副作用が現れた場合も同じです。

他にも、だるさや食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)、全身の発疹(ほっしん)、動悸、多汗、下痢や便秘などの症状に気付いたら、すぐに医師や薬剤師などに相談しましょう。

飲み忘れたときの対応

フェブリクは1日1回飲む薬です。飲み忘れてしまった場合は、可能な限りすぐに1回分を飲みましょう。次の服用時間が近いときは忘れた分は飲まずに、次の服用時間に1回分を飲むようにします。2回分を1度に飲まないように気をつけてください。。詳細は医師や薬剤師に確認しましょう。

以下では、フェブリクの飲み合わせの使用方法や飲み合わせの注意点などを網羅的に解説しています。
>>フェブリクは高尿酸血症に効果的!使用方法や飲み合わせの注意点も解説

説明を十分に受け、疑問や不安は相談を

フェブリクは、尿酸が過剰に生成される「尿酸産生過剰型」の高尿酸血症に適した尿酸生成抑制薬です。最近の研究では、尿酸排泄低下型の高尿酸血症にも一定の効果が期待されることが示されています。また、尿酸排泄促進薬との併用により、さらなる治療効果が得られるケースもあります。

高尿酸血症は、適切な薬物療法と生活習慣の見直しによりコントロールが可能です。疑問や不安がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談し、正しい治療を受けましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では高尿酸血症や痛風の治療も行っています。薬の処方にあたってはわかりやすく丁寧な説明をし、十分に理解していただいたうえで服用いただけるように心がけています。管理栄養士も在籍し、栄養面でも患者さんをサポートすることが可能です。診療予約は24時間365日ネットからご予約いただくことが可能で、待ち時間が最小限に抑えられます。土日祝日も診療しており、忙しい方でも通いやすい体制を整えています。お困り事があればお気軽にご相談ください。

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