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健康診断
2022.08.18

ABC検診

ABC検診とは

ABC検診とは“胃がんリスク検診”とも呼ばれ、胃がんそのものを見つける検診ではなく、血液検査によって胃がんにかかりやすいか、そうでないかの分類を行うための検診のことです。結果はA〜D群に分けられ、A群が現段階でもっとも胃がんのリスクが低い状態で、アルファベットが後ろに行くほど胃がんにかかるリスクが高くなります。

実際にABC分類を踏まえた胃がんの発見頻度を調べたある調査では、C群で1.87%、B群で0.21%、A群で0%という結果が出ており、A群から胃がんが発見されることはなかったと報告されています。以上より、C群は胃がん高リスク群であり、A群は胃がん低リスク群と考えられます。また、胃がんのリスクを知る一助としてABC検診を導入することで、胃がんの発見率が約1.9倍近くにまで上昇したというデータもあり、胃がんの早期発見に役立つといえます。

ただし、ABC検診のみで胃がんの有無は判断できないため、胃部X線検査または胃内視鏡検査を組み合わせる必要があります。

ピロリ菌検査との違い

通常のピロリ菌検査も血液検査によって行うことがありますが、ABC検診はピロリ菌の検査に加えて胃の老化現象(胃の粘膜がどの程度萎縮しているか)を評価し、これらの結果を組み合わせて胃がんのリスクを判断する点が、ピロリ菌検査との違いです。

ほかの胃がん検診との違い

一般的な胃がん検診ではバリウムや胃カメラを用いますが、ABC検診は血液検査で行うため、受診する側の負担が少ないといわれています。

また、ABC検診でピロリ菌感染が判明した場合、除菌治療をすることで胃がんのリスク低下につながるとされています。

ABC検診ではどんな検査をするの?

ABC検診では、血液検査で“血清ピロリ菌抗体価”と“血清ペプシノゲン値”を調べて、胃がんの主な原因となる“ピロリ菌”の感染の有無と胃の老化現象の評価を行います。

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査

血液中にあるヘリコバクター・ピロリ抗体を血液検査から測定し、ピロリ菌への感染の有無を調べます。ピロリ菌とは、胃がんや十二指腸潰瘍じゅうにしちょうかいようの原因ともいわれる細菌で、胃に持続的な炎症を引き起こします。炎症が続くと胃の粘膜が萎縮し、胃がんに発展してしまうことがあります。ヘリコバクター・ピロリ抗体が一定量より多い場合(基準値は10U/mL以上)には“陽性”となり、ピロリ菌に感染している、または過去に感染していたという判断になります。

ペプシノゲン検査

胃の細胞から分泌される“ペプシン”と呼ばれる消化酵素のもととなる“ペプシノゲン”の濃度を測定することにより、胃の老化の程度を確認します。胃の粘膜の萎縮が進んでいるとペプシノゲン値が低くなり(基準値はPGI値70ng/mL以下かつPGI/II比3.0以下)、“陽性”と判断されます。

検診結果

ABC検診の結果はA~D群の4つに分類されます。

精密検査不要

  • A群:健康

A群とは、ヘリコバクター・ピロリ抗体検査もペプシノゲン検査も陰性の場合を指します。もっとも胃がんにかかりにくい状態です。

ただし、A群であれば絶対に胃がんにかからないという意味ではないため、50歳を過ぎたら症状がなくてもバリウム検査や胃がん内視鏡検査などの一般的な胃がん検診を受けるようにしましょう。

陰性でも陰性高値の場合は注意

過去にピロリ菌の感染があり、現在は感染していない場合も胃がんのリスクがあるとされています。しかし、このケースでもA群に分類されてしまうことがあります。特に血清ヘリコバクター・ピロリ抗体価が陰性高値(3U/mLを超える)の場合は過去に感染していた可能性が高いと考えられています。

要精密検査

  • B群:少し弱っている

B群はヘリコバクター・ピロリ抗体検査が陽性で、ペプシノゲン検査が陰性の場合を指します。胃がんの発生リスクがやや高いため、胃内視鏡検査を受けたうえでピロリ菌の除菌療法を受けることが推奨されます。

また、ピロリ菌除菌後も3年に1度は定期的に胃内視鏡検査を受けましょう。

  • C群:弱っている

C群はヘリコバクター・ピロリ抗体検査もペプシノゲン検査も陽性の場合を指します。B群よりもさらに胃がんの発生リスクが高いため、胃内視鏡検査とピロリ菌の除菌療法を実施することがすすめられます。

またB群同様、ピロリ菌除菌後も2年に1度は定期的に胃内視鏡検査を受けましょう。

  • D群:かなり弱っている

D群はヘリコバクター・ピロリ抗体検査が陰性で、ペプシノゲン検査が陽性の場合をいいます。ヘリコバクター・ピロリ抗体検査が陰性となると一見リスクが低そうですが、実は胃の粘膜がかなり弱っているためにピロリ菌も生存できない状態になっている可能性があります。

D群の場合、まず胃内視鏡検査を行い、より詳しいピロリ菌検査を追加で行ったうえで、必要に応じてピロリ菌の除菌療法も検討します。また、4つの分類の中でもっとも胃がんの発生リスクが高いため、毎年定期的に胃内視鏡検査を行うことが大切です。

いつ・誰が受ければよいの?

ABC検診の対象者

ABC検診には具体的な対象年齢などはありませんが、一般的に成人後に行われます。また、ABC検診は“バリウム検査”や“胃内視鏡検査”などのように、胃がん検診として国がすすめる検査ではなく、基本的には健康診断や自由診療で受けることが一般的です。

時期・受診間隔

前述のとおり、ABC検診には具体的な対象年齢などはありません。また受診は一生に1度でよく、繰り返し受ける必要はありません。

ただし、引き続きバリウム検査や内視鏡検査などは定期的に受けることが大切です。なぜならABC検診後、必要に応じて治療などを受ける場合がありますが、治療を受けたからといって胃がんなどのリスクがなくなったわけではないからです。

費用

eHealth clinicではABC検診を実施しています。なお、ABC検診は保険適用外のため、全額自己負担となることが一般的です。eHealth clinicでは、健康診断の基本コースに追加料金4,400円(税込)でABC検診を付けられます。また生活習慣予防コースでは、はじめから胃部X線検査とABC検診のいずれかを選択できます。詳細はこちらをご確認ください。

なお、お住まいの市区町村によっては、市区町村の補助を受けて比較的安価にABC検診が受けられる可能性があります。事前に確認しておくとよいでしょう。

ABC検診を受けるときに気を付けたいポイント

ABC検診が受けられない人

以下のような人はABC検診が受けられない可能性があるため、注意が必要です。

  • 胃など消化器系の病気、症状がある人
  • 胃酸を抑える治療薬(プロトンポンプ阻害薬)や胃潰瘍などの治療薬であるタケキャブなどを服用している人
  • 胃を切除する手術を受けた人
  • 慢性腎不全の人
  • すでにピロリ菌の除菌療法をした人
  • 肺炎や中耳炎など、抗菌薬を長期的に服用する病気にかかったことのある人
  • 免疫不全や免疫低下などによりステロイドを服用している人

など

検診前の準備

服用している治療薬やかかっている病気などによってはABC検診を行えない可能性があります。事前に医師の説明をよく聞き、自身の服用している薬や過去にかかった病気などについて伝えるようにしましょう。

eHealth clinicではABC検診をはじめ、多数の検診プラン、オプション検査も用意しています。詳しくはスタッフまでお問い合わせください。