肥満は、2型糖尿病をはじめとするさまざまな健康リスクを引き起こす重大な疾患です。最近の研究では、肥満と前糖尿病を持つ人々がチルゼパチド(商品名:マンジャロ)を使用することで、体重を効果的に減らし、2型糖尿病への進行を遅らせる可能性があることがわかりました。本記事では、このチルゼパチド(商品名:マンジャロ)の効果や安全性について、最新の研究結果をもとに詳しく解説します。
チルゼパチド(商品名:マンジャロ)は肥満症治療と糖尿病予防において、非常に有望な結果を示しました。
SURMOUNT-1試験は、肥満と前糖尿病を併発する患者を対象に、チルゼパチド(商品名:マンジャロ)の効果と安全性を3年間にわたり検証した大規模な臨床試験です。この研究には、肥満患者2539名が参加し、そのうち1032名が前糖尿病と診断されていました。参加者は、週1回のチルゼパチド(商品名:マンジャロ)(5 mg、10 mg、15 mgのいずれか)またはプラセボを176週間投与されました。
試験では以下の2点が主に評価されました:
- 体重の変化(ベースラインから176週目まで)
- 2型糖尿病の発症率(176週目および治療終了後17週間で評価)
結果:体重減少と糖尿病リスクの低下
大幅な体重減少を実現
試験の結果、チルゼパチド(商品名:マンジャロ)を投与されたグループでは、プラセボ群と比べて大幅な体重減少が確認されました。
- 5 mg群:平均−12.3%
- 10 mg群:平均−18.7%
- 15 mg群:平均−19.7%
- プラセボ群:平均−1.3%
これらの結果は、いずれも統計的に有意(P<0.001)であり、チルゼパチドの高い効果が示されました。
2型糖尿病の発症を抑制
さらに、チルゼパチド(商品名:マンジャロ)を使用した患者では、2型糖尿病の進行リスクが大幅に低下しました。
- 治療期間中(176週間)
- チルゼパチド群:1.3%
- プラセボ群:13.3%
- ハザード比:0.07(P<0.001)
- 治療終了後17週間
- チルゼパチド群:2.4%
- プラセボ群:13.7%
- ハザード比:0.12(P<0.001)
安全性について
チルゼパチドは、胃腸障害(主に軽度から中等度)を含む副作用が見られましたが、新たな安全性の懸念は確認されませんでした。胃腸障害は主に治療初期の20週間に発生し、その後は軽減する傾向がありました。
まとめ:チルゼパチド(商品名:マンジャロ)の可能性
ティルゼパチドは、肥満と前糖尿病を持つ患者にとって画期的な治療オプションとなる可能性があります。3年間の治療により、大幅な体重減少と2型糖尿病への進行リスクの抑制が実現しました。この結果は、多くの肥満患者に希望をもたらすものであり、今後の肥満治療において注目すべき選択肢と言えるでしょう。
N Engl J Med. 2024 Nov 13. doi: 10.1056/NEJMoa2410819. Epub ahead of print.
肥満症の合併症には、糖尿病や高血圧、心臓病、がんなどさまざまなものがあり、時に命に関わることもあります。しかし、肥満や肥満症の場合も通常は自覚症状がないため、すぐに気付くことは難しいとされています。そのため、健康的な食事や適度な運動を継続的に行うことに加えて、必要に応じて薬物治療が必用になります。
一般的な肥満外来(医療ダイエット外来)では、健康状態のヒアリングが不十分で、薬の処方が中心になっていることが多いのが現状です。しかし、イーヘルスクリニック新宿院の肥満外来(医療ダイエット外来)では、単に体重減量を目指すだけでなく、肥満によって引き起こされる健康問題の早期発見と治療にも重点を置いています。
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