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コラム
2025.04.05

野菜を控えるのはもう古い?CKDと「植物性食品」の新しい関係

野菜を控えるのはもう古い?CKDと「植物性食品」の新しい関係

慢性腎臓病(CKD)では、腎機能の低下により尿中のカリウム排泄が減少し、血中カリウム値が上昇しやすい傾向があります。高カリウム血症は不整脈などのリスクがあるため、これまで医療現場では「野菜は控えめに」といった食事指導が一般的でした。

しかし、近年の研究により、植物性食品を主体とした食事がCKDの予防・進行抑制に効果的であることが示されつつあります。血中カリウム値をモニタリングしながら、野菜や果物など植物由来の食品を積極的に摂取することが、むしろ腎臓を守る可能性があるのです。


植物性食品の摂取でCKDリスクが最大26%低下

注目すべきは、2023年にPubMedに掲載された「植物性食品を主体とする食事療法とCKDに関する系統的レビューとメタアナリシス」の研究結果です。この研究では、121,927人のデータを対象に、植物性食の影響を調査。

その結果、植物性食品の摂取量が多いグループでは、CKDの発症リスクが最大26%低下していました(OR=0.75, 95% CI [0.65–0.86], P<0.0001)。また、摂取量が多いほど腎臓病の進行を抑える傾向があり、用量依存的な関係があることも示唆されています。


ポイントは「健康的な植物性食品」

ただし、研究は同時に「不健康な植物性食品(精製穀物、砂糖、加工食品など)では腎臓保護効果は見られない」とも報告しています。つまり、重要なのは未加工で栄養価の高い野菜・果物・豆類・全粒穀物などを中心とした食事スタイルをとることです。


医師の指導のもと、安全に植物性食を取り入れる

CKD患者が植物性食品を積極的に摂るには、定期的な血中カリウムのモニタリングが欠かせません。医師や管理栄養士の指導のもとで、個々の腎機能に応じたバランスの良い植物性中心の食事を実践することが、腎臓の健康を守るカギとなります。


まとめ:野菜を「避ける」から「活かす」へ

これまでの「野菜=リスク」というCKDの食事指導は、最新の科学的知見によってアップデートされつつあります。
血液データを確認しながら、植物性食品をうまく活かすことが、CKDの進行抑制や予防に効果的であるという時代に変わりつつあるのです。

参考論文:

Dang Z, He Y, Xie R, Chen P, Dong F. Plant-based Diet and Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. J Ren Nutr. 2025 Mar 11:S1051-2276(25)00027-5. 


イーヘルスクリニック新宿院の腎臓内科

健康診断でクレアチンが高い、尿蛋白や血尿が陽性の場合は、当院の腎臓内科を受診してください。基礎疾患や腎機能のリスク因子を検査し、最適な治療プランを提案します。治療オプションは理解しやすく説明し、患者様の了承を得た上で治療方針を共に決定します。当クリニックには管理栄養士もおり、食事に関する専門的なアドバイスも受けられます。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。

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記事作成:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

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