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2023.01.31

高尿酸血症の治療薬“フェブリク”の特徴とは?〜効果や副作用、注意点について解説〜

高尿酸血症は、血液中の尿酸値が通常よりも高くなり、7.0mg/dLを超えたときに診断される病気です。高尿酸血症の治療薬には、尿酸の排泄を促す“尿酸排泄促進薬”、尿酸の産生を抑える“尿酸生成抑制薬”などがあり、検査を行い患者さんに合った薬が処方されます。なかでも本記事では、尿酸生成抑制薬の“フェブリク”の効果や副作用、服用の注意点などを解説します。

高尿酸血症への“フェブリク”の効果と特徴

フェブリク(一般名:フェブキソスタット)は、尿酸が過剰に作られるタイプの高尿酸血症(尿酸産生過剰型)に処方される“尿酸生成抑制薬”の1つです。体内でプリン体*から尿酸をつくるキサンチン酸化還元酵素(XOR)という酵素のはたらきをブロックすることで、尿酸が作られすぎないようにします。キサンチン酸化還元酵素阻害薬(XOR 阻害薬)とも呼ばれています。

フェブリクは1日1回服用することで効果が期待できます。

*プリン体:プリン体は新しい細胞ができるときに必要な物質で、分解されると尿酸となり、尿などとして体外に排泄されます。しかし、1日に尿酸が排泄できる量には限界があり、それを超えると結果的に高尿酸血症になります。

特徴1:ほかの酵素のはたらきを邪魔しない

フェブリクの特徴として、XORにだけ作用する点が挙げられます。つまり、似ている構造をする酵素のはたらきを抑えることがありません。

XOR阻害薬は、フェブリクが発売される前はアロプリノールという薬が使われていました。フェブリクはアロプリノールよりもXORのみを選択できる能力が高いといわれています。

特徴2:腎臓病がある患者さんにも使用できる

アロプリノールは全身の臓器で代謝され、代謝物として尿中に排泄されていましたが、フェブリクは肝臓で代謝し尿や糞中に排泄されることが特徴です。つまり、腎臓から排泄する以外にも肝臓から排泄することができるため、腎機能障害がある患者さんでも軽度〜中等度であれば減量などの必要なく使用することができます。

一方、重度の腎機能障害がある患者さんでは、使用にあたり安全性が認められていないので用量の調節などをする必要があります。

また、尿酸生成抑制薬は尿酸産生過剰型の高尿酸血症患者さんに対して効果が期待できる薬ですが、ある研究では腎機能が低下している方に多いとされる尿酸排泄低下型の高尿酸血症患者さんに対してフェブキソスタット40mgを使用したところ、約50%で血清尿酸値6.0mg/dL未満を達成したことが報告されています。

特徴3:腎機能障害の緩和に効果が期待される

最近の研究からフェブリクが、腎尿細管細胞のATP(体のエネルギー源)再合成を促すことで、腎機能障害の進行を抑える可能性があるといった結果が報告されています。

腎臓はATPというエネルギー源を用いて、生命維持に必要な電解質や水分を尿から再吸収することで体の巡りを一定に保つはたらきをしています。そのため、腎機能障害が起こると、最終的に生命を維持するためには人工透析(人工的に腎臓のはたらきを補う治療)などを行う必要が出てくるため、日常生活に支障をきたしてしまいます。

フェブリクはアデニル酸(ATPの分解によって作られる物質)の再合成をすることで、血流不足に伴うATPの低下を和らげ、腎機能障害の緩和につながる可能性があるとされています。

高尿酸血症での“フェブリク”の副作用

フェブリクを使用すると、薬の作用から急激に尿酸値が下がることが原因で痛風発作が起こることがあります。

痛風は通常、尿酸値の高い状態が続いて足の親指の関節などに尿酸の結晶がたまったり、沈着したりすることで発症します。しかし、フェブリクを使用すると、薬の作用から血液中の尿酸が急に増えたり減ったりして結晶が不安定になり、剥がれやすくなります。剥がれた結晶は関節内を漂い、それを処理するために強い炎症が起こって腫れや痛みを感じるようになるのです。

これを防ぐために薬の量は少なめから始め、様子を見ながら少しずつ増やしていくのが一般的です。また、痛風発作の予防として予防薬が処方されることもあります。そのほかの副作用としては、肝機能の低下、手足の痛みや不快感などがあります。

なお、副作用はこの限りではありません。詳細については医師や薬剤師に確認しましょう。

高尿酸血症での“フェブリク”服用の注意点

医師の指示に従った服用

フェブリク服用中は、自分の判断で飲む量を変えたり、飲むのをやめたりしないようにしましょう。痛風発作が起こった場合も、自己判断で中止したり量を変えたりすると症状の悪化や再発につながる可能性があるので、まずは医師や薬剤師に相談するようにしましょう。手足の痛みや不快感などの副作用が現れた場合も同じです。

そのほかに、だるさや食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)、全身の発疹(ほっしん)、動悸、多汗、下痢や便秘などの症状に気付いたら、すぐに医師や薬剤師などに相談しましょう。

飲み忘れたときの対応

フェブリクは1日1回飲む薬です。飲み忘れてしまった場合は、可能な限りすぐに1回分を飲みましょう。次の服用時間が近いときは忘れた分は飲まずに、次の服用時間に1回分を飲むようにします。2回分を1度に飲まないようにしましょう。

詳細は医師や薬剤師に確認するようにしましょう。

説明を十分に受け、疑問や不安は相談を

フェブリクは、尿酸がつくられ過ぎる“尿酸産生過剰型”の高尿酸血症に使われる薬です。最近では、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬を併用すると効果的なことや、尿酸排泄低下型にも尿酸生成抑制薬が有効なことが分かってきました。そのため、医師は検査データや既往歴などから総合的に判断して薬を出します。医師や薬剤師から薬の説明を十分に受け、治療や薬の作用、副作用に疑問や不安がある場合は質問するようにしましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では高尿酸血症や痛風の治療も行っています。薬の処方にあたっては分かりやすく丁寧な説明をし、十分に理解していただいたうえで服用いただけるように心がけています。また、生活習慣病は薬だけではなく生活習慣の改善も重要です。また、管理栄養士も在籍し、栄養面でも患者さんをサポートすることが可能です。診療予約は24時間365日ネットからご予約いただくことが可能で、待ち時間が最小限に抑えられます。土日祝日も診療しており、忙しい方でも通いやすい体制を整えています。お困り事があればお気軽にご相談ください。

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参考文献

Xanthine oxidase inhibitor ameliorates postischemic renal injury in mice by promoting resynthesis of adenine nucleotides. JCI Insight. 2019 Nov 14;4(22):e124816.