高尿酸血症の治療薬ユリス(ドチヌラド)とは?処方される病気や使用時の注意点を解説
誰もが健康に対する不安を抱えていますが、特に高尿酸血症は日本国内で増加傾向です。食生活の欧米化や不規則な生活が招く高尿酸血症は、放置すると痛風や腎機能障害などの深刻な健康リスクを引き起こす可能性があります。高尿酸血症や痛風に悩む方々にとって、治療の選択肢は重要です。
最新の研究により、新薬ユリス(ドチヌラド)が尿酸値を効果的に下げることが示されています。この記事では、ユリスの特徴や使用方法、注意点を詳細に説明しています。記事を読めば、高尿酸血症や痛風の治療法として、より良い選択が可能になります。
以下の記事では高尿酸血症の治療法についてより具体的に解説しているのでチェックしましょう。
>>高尿酸血症の治療方法とは?完治する?治療に関するガイドライン
① 平日20時まで、土日祝も診療
② オンライン診療対応で、すぐに薬が受け取れる
③ 管理栄養士による食事指導も実施
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
ユリス(一般名:ドチヌラド)とは、痛風や高尿酸血症の治療に使われる薬で、尿酸値を下げる効果が期待できます。2020年に処方可能になった比較的新しい機序の薬で、形状は錠剤です。ユリス錠0.5mg、1mg、2mgの3種類があります。
ユリスは、“選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)”に分類される薬です。URAT1(尿酸トランスポーター1)という遺伝子だけを選択的に阻害する(活性の低下、あるいは消失させる)ことで一度排出された尿酸の再吸収を抑え、尿中尿酸排泄量を増やすことにより血清尿酸値を低下させる作用があります。
ユリスが処方されるのは以下の病気です。
高尿酸血症は痛風発作を誘発するだけでなく、慢性腎臓病や心疾患などのリスクとなります。また、メタボリックシンドロームを併発する可能性のある病気でもあり、その多くは腎臓から排出される尿酸の量が減ってしまう“尿酸排泄低下型”だとされています。
高尿酸血症は腎臓病や糖尿病とも密接な関係があります。以下の記事では慢性腎臓病や糖尿病について網羅的に説明しているので、知りたい方はぜひチェックしてみてください。
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1日1回0.5mgの内服から始め、必要に応じて少しずつ増量することが一般的です。これは薬の使用によって尿酸値が急激に低下すると、痛風発作につながることがあるためです。たとえば、服用開始から2週間経過したら1日1回1mg、6週間経過したら1日1回2mgというように、少しずつ増量します。
また、医師の判断のもと、病態に応じて適宜増減が可能ですが、1日に服用できる上限は4mgとされています。
ユリスの使用に注意が必要な人は以下のとおりです。
該当する方は注意しましょう。不安な方は医師に相談することをおすすめします。ユリスの成分に対して過敏症を起こしたことがある人は、使用できません。
ユリスの使用中に注意したい症状として、よく起こりやすい症状と、まれな症状を解説します。
以下の症状が現れることがあるため、気になる症状があったり、長く続いたりする場合などは受診を検討しましょう。
痛風関節炎とは、結晶化した尿酸が関節に沈着して生じる関節炎で、5%以上の頻度で起こることがあるとされています。急激な尿酸値低下が起こると痛風関節炎につながることがあるため、ユリスのような尿酸値を下げる薬は服用量を徐々に増やしていくことが一般的です。
1~5%未満の頻度で関節炎や四肢の不快感が生じることもあります。
1%未満の頻度で以下のような症状が現れることがあるため、気になる症状があったり、長く続いたりする場合などは受診を検討しましょう。
γ-GTP(ガンマGTP)とは、タンパク質の分解に関わる酵素の1つで、肝機能の指標となるものです。肝機能障害などが起きているとγ-GTPが増加するとされていますが、ユリスの服用によって数値が増加することもあります。
また、ユリスと同じように尿酸値を下げる薬によって、重い肝障害が発生した事例もあるため、服用中は定期的に肝機能検査などが行われることもあります。
服用を始めた頃に、腎臓結石などの尿路結石が生じることがあります。尿路結石とは、腎臓から尿道の間に結石ができる病気で、腎臓にできた場合に腎臓結石と呼びます。突然の激しい痛みや血尿などの症状が現れた場合は結石の可能性があるため注意が必要です。予防のために自分でできることとしては、水分を十分に摂取することが挙げられます。
腎臓にカルシウムが沈着する腎石灰沈着症が生じることもありますが、放置しても問題ないことが多いといわれています。
1%未満の頻度で軟便や関節痛が生じることもあります。さらに、頻度は不明ですが、発疹(ほっしん)などの症状が現れることもあります。
ユリスと飲み合わせの悪い薬や食品を紹介します。
以下の2つの薬はユリスとの相性が良くありません。
ピラジナミドは尿酸の再吸収を促進し、サリチル酸製剤は尿酸の排泄を抑えることで、ユリスの尿酸を排泄する効果が弱まる可能性があります。すでに服用していたり、併用したりする可能性がある場合は医師に相談しましょう。
アルコールによってユリスの作用が強くなりすぎたり、副作用のリスクが高まったりするため、薬とは同時に飲まず、飲酒する場合は十分に時間を空けるようにしましょう。
以下の記事では、高尿酸血症とアルコールの関係について解説しています。
>>高尿酸血症とアルコールの関係は?量に制限は必要?ビール以外の原因も解説
当院の院長はドチヌラドの効果を実際に検証し、慢性腎臓病を合併した高尿酸血症の患者において腎機能の改善が見られたことを確認しました。この成果は、同氏の論文で詳細に報告されています。
背景
本研究では、新しい薬剤「ドチヌラド」を用いた尿酸低下治療が、慢性腎臓病(CKD)と高尿酸血症(HUA)を持つ患者の腎機能に及ぼす有益な効果を検証しました。
方法
35名のCKD患者(平均年齢65.4歳、男性23名)を対象に、ドチヌラド投与前後の推算糸球体濾過量(eGFR)の変化を評価しました。患者はまず3か月間の観察期間を経た後、3か月間のドチヌラド治療を受けました。
結果
結論
ドチヌラドの投与は、CKDとHUAを持つ患者の腎機能回復に有益であり、高尿酸血症による腎機能低下を予防する可能性が示唆されました。
高尿酸血症は多くの健康リスクを引き起こしますが、新治療薬「ドチヌラド」には改善の可能性が見出されています。
ドチヌラドは、尿酸値を効果的に下げることができるため、高尿酸血症や痛風に悩む患者さんにとって大きな希望となります。尿酸の排泄を促進し、慢性的な痛みや他の健康リスクを減少させる効果が期待できます。適切な管理と医師の指導のもとで使用することで、安全かつ効果的な治療結果を得ることができます。お悩みの方は当院へお気軽にご相談ください。
以下の記事では高尿酸血症について網羅的に解説しています。
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