肥満症と生活習慣病のリスク
肥満症は、高血圧や脂質異常症といった生活習慣病だけでなく、糖尿病やがんのリスクを高めます。特に、BMIが25を超えると生活習慣病のリスクが2倍に上昇し、BMIが30以上になると積極的な治療が必要とされます。最近では、マンジェロ(チルゼパチド)やリベルサス(セマグルチド)などの医療ダイエット薬を使用する人が増えています。これらの薬は食欲を抑え、効果的な体重減少をもたらしますが、食事量の減少により筋肉量が減る場合もあります。
筋肉量を維持するための食事
筋肉量の減少を防ぐためには、適切なタンパク質摂取が重要です。
最新の研究(Clin Nutr ESPENのメタ解析)によれば、ダイエット中に「体重×1.3g以上」のタンパク質を1日に摂取すると筋肉量の維持や増加が期待できます。一方、「体重×1.0g未満」では筋肉量が減るリスクが高まるとされています。
植物性タンパク質の特徴とメリット
背景と目的:
肥満および過体重の個体における体重減少は代謝および健康に有益であるが、同時に筋肉量の減少のリスクも伴う。本系統的レビューおよびメタ分析は、過体重および肥満の成人において、体重減少を達成しながら、筋肉量、筋力、および身体機能を維持するために必要な初期タンパク質量を決定することを目的とする。
方法:
Medical Literature Analysis and Retrieval System Online (Medline)、Excerpta Medica (Embase)、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature (CINHAL)、およびWeb of Scienceなど、関連する文献データベースを2023年3月15日まで電子的に検索した。過体重または肥満の成人を対象とした体重減少を目標とした場合の、追加的なタンパク質摂取が筋肉量、筋力、および身体機能に及ぼす影響を調べた。バイアスのリスクは、Cochrane RoB 2.0ツールを使用して評価した。結果は、ランダム効果モデルを用いて、標準化平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を使用して統合された。
結果: 4
7件の研究(n = 3218)が含まれた。筋肉量分析では、28件の試験(1989人の参加者)が含まれた。結果は、過体重または肥満で体重減少を目的とする成人において、タンパク質摂取量を増やすことで筋肉量の減少を有意に防止できることを示した(SMD 0.75; 95%CI 0.41〜1.10; p <0.001)。タンパク質摂取量を増やしても、筋力と身体機能の低下を有意に防止することはできなかった。1.3 g/kg/日を超える摂取量は筋肉量を増加させると予想され、1.0 g/kg/日未満の摂取量は筋肉量減少のリスクが高い。筋肉量に関する研究におけるバイアスのリスクは、低いものから高いものまでさまざまであった。
結論:
過体重または肥満で体重減少を目的とする成人は、タンパク質摂取量を増やすことで、タンパク質摂取量を増やさない場合と比較して、より効果的に筋肉量を維持することができる。
肥満症の合併症には、糖尿病や高血圧、心臓病、がんなどさまざまなものがあり、時に命に関わることもあります。しかし、肥満や肥満症の場合も通常は自覚症状がないため、すぐに気付くことは難しいとされています。そのため、健康的な食事や適度な運動を継続的に行うことに加えて、必要に応じて薬物治療が必用になります。
一般的な肥満外来(医療ダイエット外来)では、健康状態のヒアリングが不十分で、薬の処方が中心になっていることが多いのが現状です。しかし、イーヘルスクリニック新宿院の肥満外来(医療ダイエット外来)では、単に体重減量を目指すだけでなく、肥満によって引き起こされる健康問題の早期発見と治療にも重点を置いています。
診療は土日祝日も対応しており、24時間365日診療予約がネットから可能です。忙しい方でも受診しやすい体制を整えていますので、お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。
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