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診療科目
2022.10.31
#対象疾患

クレアチニン

クレアチニンとは

クレアチニンとは、腎臓の糸球体の能力を示す値です。糸球体には、体に必要なものを残し、不要になった老廃物を排出するフィルターのような役割があります。具体的には、腎臓にたどり着いた血液中の老廃物や塩分をろ過し、尿として排出します。

クレアチニンは、筋肉の中でタンパクが分解された後にできる老廃物で、これも糸球体のはたらきによって尿として排出されます。通常クレアチニンの排出は速やかなため、体内のクレアチニンの値は一定に保たれています。しかし、糸球体が目詰まりを起こしていたりすると、ろ過されなかったクレアチニンが尿として排出されず、体内のクレアチニンの値が上昇します。

一方、筋肉の量自体が減少する筋ジストロフィーなどでは、クレアチニンは低下することになります。

血清クレアチニンの基準値と異常値

基準値

  • 男性:1.2mg/dL以下
  • 女性:1.0mg/dL以下

男女間の基準値の違いは、筋肉の総量によるものです。クレアチニンは、糸球体のろ過能力が通常の半分近くまで低下して、はじめて高い値として現れます。したがって初期の、あるいは軽度の腎機能低下の判定には適さないとされます。

異常値

  • 男女とも:軽度異常1.0~2.0mg/dL

軽度の腎機能障害と判定されます。また、心不全や前立腺肥大などでも上昇します。心不全は心臓が血液を体に送り出せなくなるもので、心臓の筋肉の一部が死んでしまうことで、クレアチニンが放出されます。前立腺肥大は尿路を取り囲む前立腺が肥大し、うまく尿を出せなくなる状態です。肥大に伴ってクレアチニンが上昇します。

  • 男女とも:異常2.0~5.0mg/dL

腎不全の進行が考えられます。腎不全は、腎臓の機能に障害が起きた状態です。老廃物が排泄できなくなる、水分とナトリウムなどの調整ができなくなる、ホルモンをつくれなくなるなど、さまざまな障害が生じてきます。腎不全が進行すれば、クレアチニンだけでなく、ほかの老廃物もろ過できなくなってきます。

血清クレアチニンの検査方法

注射による採血で測定されます。健康診断では腎機能をみるため、クレアチニンとともに尿素窒素(BUN)も同時に測定されるのが一般的です。これは腎臓からの尿素の排泄能をみるものです。

検査前の注意点

採血には注射器が使われるので、その際の痛みがあります。一般的な健康診断と同様に、午前受診の場合は、前日21時頃までに食事を済ませることが求められます。また、前日の激しい運動は避けるようにしましょう。これは筋肉が燃焼し、クレアチニンが血液中に出やすくなるためです。

異常が見つかった場合

クレアチンが基準値を超えている場合、腎機能の障害が進んでいる可能性があります。医師や看護師の指示に従って対応しましょう。

糸球体をはじめ腎臓の機能をみる場合、クレアチニンだけでなくほかの検査も行われます。クレアチニンと同時測定される“BUN”、クレアチニンの値と性別・年齢から腎臓のはたらきを算出し、通常は一般の健康診断でも表示される“糸球体ろ過量(eGFR)”、クレアチニンが実際どのくらい腎臓で排出されるかをみる“クレアチニン・クリアランス(CCr)”なども必須です。CCrを測定する場合、通常は尿を1日ためておく必要があります。

クレアチニン は最近注目を集めている慢性腎臓病(CKD)を調べるために欠かせない検査です。慢性腎臓病は腎機能が慢性的に低下する病気のことで、これを放置すると透析や腎移植に至る可能性が高くなります。現在日本では、推定1,300万人以上の患者がいるといわれています。これは20歳以上の成人の8人に1人にあたり、早期発見・早期治療が大切です。

しかし、腎機能の低下は静かに進みます。直近の検査で異常がなかったとしても、年に1回程度は健康診断などを受けましょう。そして腎臓の状態を確認してみてください。それが異常の早期発見につながります。