高尿酸血症の食事で気を付けるポイントとは?具体的な食事の注意点を解説
肥満との関係でもっとも注目されているのが、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。また、これらの病気が重複して発症するメタボリックシンドロームとも、密接な関係があります。肥満を放置していると、こうした生活習慣病を悪化させ、血管を傷つけたり、もろくしたりして、やがて動脈硬化を引き起こします。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気へと進む原因ともなります。
腎疾患においても、肥満は高血圧,糖尿病,脂質異常症などの因子を取り除いても,慢性腎臓病の独立した危険因子であることがわかっています。
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
ここで、肥満の程度と腎機能の低下との関係について調べた研究を紹介します。この研究は世界40カ国を対象としたもので、研究は1970年~2017年という、実に47年もの期間にわたって行われました。被験者となったのは、39の住民コホート(被験者総数:545万9,014例)と、高心血管リスクコホート6件(同:8万4,417例)、CKD(CKD:慢性腎臓病)コホート18件(同:9万1,607例)です。大変多くの事例のなかから、肥満とGFR(腎臓の機能の度合い)との関連が検証されました。
一般的に、肥満とはBMI値25を上回る状態を指しています。そこでこの研究では、さまざまなBMI値について、GFR低下のハザード比(リスク)をBMI値25と比較しました。この結果、GFR低下リスクはBMI値が高くなるにつれて大きくなることがわかっています。BMI値25と比べて、BMI値30の場合でリスク1.18倍(95%信頼区間[CI]:1.09~1.27)、BMI値35の場合で1.69倍(同:1.51~1.89)、BMI値40ではリスクが2.02倍(同:1.80~2.27)となりました。
また、日本においても肥満の有病率が高い都道府県は透析導入率が高いこともわかっています。これについては日本透析医学会のレジストリ、特定健診データ・医療費請求データなどを利用して研究が行われており、肥満の有病率が高い都道府県は標準化透析導入比が高いという有意な関連が明らかになっています。
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎症、腎硬化症などにより、腎機能が悪化した状態の総称です。患者数は8人に1人、世界では実に6億人以上と推計されており、さらに全世界で増加の傾向にあります。日本でも患者数が1,330万人以上に及ぶ新たな国民病として注目されています。この新たな国民病を予防するためには、肥満の解消が必須です。
減量の食事療法といえば糖質制限や脂質制限が一般的です。それぞれ一長一短あり、どちらか一方が優れているというわけではありません。糖質制限ではダイエット効果をあまり感じなくても、脂質制限で効果が出た方もいます。その逆もしかりです。
糖質制限ダイエットのエビデンスとして、低炭水化物食を食べた過体重およびBMIが25を上回る肥満者に関する研究結果をご紹介します。この研究は、複数の研究をまとめて再度解析したもので、現時点はもっともエビデンスレベルが高く、信頼できる解析結果といわれています。
参加者の年齢の中央値は45.7歳、BMIの中央値は33.7程度です。研究結果は、平均約24週間の低炭水化物食摂取を行った人は、そうでない人と比べて6ヵ月時に中央値で8.73kg、12ヵ月時には7.25kgの減量が達成されました。
ただし、長期的な視点でみた場合、糖質を制限しすぎてしまうと死亡リスクを高める可能性も指摘されています。別の研究で、観察期間の中央値が25年間のものについて、結果をご紹介します。
米国の成人15,428人(45~65歳)の、炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べたところ、最も死亡リスクが低く、最も寿命が長かったのは、摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50~55%の人々でした。彼らの寿命は、炭水化物の割合が30%未満だった人々よりも4年長く、65%以上の人々よりも1年長い結果となったのです。このことからは極端な糖質・炭水化物制限が寿命を縮める可能性があることがわかります。
また、低脂肪食でも低炭水化物食でも、減量効果は変わらないとの報告もあります。つまり、その人の生活スタイル、体質、食事の好みに合った方法を選ぶのが最も良いとも考えられるでしょう。
栄養指導では管理栄養士が中心となり、個人の食習慣や体の状態などをトータルに考えて、バランスの整った食事をご提案します。
「自力で食事制限をしてみても続かなかった」「栄養が偏って体調を崩してしまった」という方は、肥満外来での栄養指導を検討してみてはいかがでしょうか。
eHealth clinicの肥満外来は主に栄養カウンセリングや薬の処方を行っており、自由診療となります。ひとくちに肥満を治療するといっても適切な治療は患者さんによって全て異なり、同じ治療は一つとしてありません。当クリニックでは丁寧な問診から、一人ひとりに合った治療を提案します。なお、それぞれの治療には副作用などのリスクもあります。副作用などの注意点は診察時に説明をいたします。不安や疑問があればお気軽にご相談ください。
参考文献
BMJ. 2019 Jan 10;364:k5301.
Clin Exp Nephrol. 2022 Oct 8. doi: 10.1007/s10157-022-02284-z. Epub ahead of print.
JAMA. 2014 Sep 3;312(9);923-33.
Public health. 2018 Sep;3(9);e419-e428.
JAMA. 2018 Feb 20;319(7):667-679.
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