クレアチニン値が低いとどうなるの?健康リスクと改善方法、注意点を解説

疲れやすさやむくみは腎臓からのSOSサインの可能性があります。腎臓病は女性に多い傾向があります。女性ホルモンや妊娠・出産、女性特有の生活習慣が原因です。腎臓病はかつてお酒好きの男性に多い病気と考えられていましたが、現在では女性にも多い病気です。
この記事では、腎臓病が女性に多い理由を、ホルモンバランス、妊娠・出産、生活習慣などのさまざまな角度から詳しく解説します。ご自身の体と向き合い、健康な未来を守るためにも、ぜひ最後までお読みください。
以下の記事では慢性腎臓病について網羅的に説明しているので、知りたい方はぜひチェックしてみてください。
>>慢性腎臓病とは?症状や罹患時に気をつけたいポイントを解説
① 平日20時まで、土日祝も診療
② オンライン診療対応で、すぐに薬が受け取れる
③ 管理栄養士による食事指導も実施
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
腎臓病は、老廃物をろ過して尿を作る働きをする腎臓の機能が低下する病気です。腎臓病は女性に多い傾向があると報告されており、理由は以下のとおりです。
腎臓病が女性に多い理由をそれぞれ解説します。
女性ホルモンの変化は腎臓の血流を悪化させ、腎臓病の原因になります。エストロゲンは、血管拡張作用を持ち、腎臓の血流維持に関与する女性ホルモンです。エストロゲンにより、腎臓は効率よく老廃物をろ過し、尿を作れます。閉経を迎えると、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。
更年期に経験する、のぼせやほてり、発汗などもエストロゲン減少による自律神経の乱れの影響です。腎臓もエストロゲンの減少により、機能を維持することが難しくなり、腎臓病のリスクが高まります。
更年期障害と腎臓病の初期症状は似ていることがあり、見過ごされやすいので注意が必要です。閉経後に不調を感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
妊娠中は、赤ちゃんに栄養と酸素を届けるため、母体の血液量が増加しますが、血液量の増加は腎臓の大きな負担になります。通常時よりも多くの血液をろ過しなければならず、腎臓はフル稼働の状態になるからです。
妊娠中は大きくなった子宮が尿の通り道である尿管を圧迫し、尿の流れを悪くする可能性があります。尿の流れが滞ると、腎臓に尿が溜まり、腎盂腎炎などの感染症のリスクも高まる可能性があります。妊娠中は、腎臓への負担が増加するため、普段以上に腎臓の健康に気を配ることが大切です。
実は、女性に多い生活習慣の中には、腎臓病のリスクを高めるものが潜んでいます。無理なダイエットは腎臓病のリスクを高める原因です。極端な食事制限は、腎臓に必要な栄養素が不足し、機能低下につながる可能性があります。
冷え性対策で過剰に温かい飲み物を摂取をしている方も注意が必要です。腎臓は常に体内の水分量を調整しており、過剰な水分は腎臓に負担をかけます。水分はこまめに摂り、一度に大量に飲むのは避けましょう。
ストレスや睡眠不足も腎臓の健康を損なう要因です。ストレスは血管を収縮させ、腎臓への血流を悪くします。睡眠不足は腎臓の修復機能を低下させます。若い世代でも腎臓病を発症する可能性があるため、生活習慣の見直しは重要です。
生活習慣の改善は、腎臓病の予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。ご自身の生活習慣を振り返り、改善できる点がないか考えてみましょう。
腎臓病は、初期段階では自覚症状が出にくい病気です。自覚症状がないまま病気が進行し、気づいたときにはかなり悪化しているケースも少なくありません。
しかし、早期発見と適切な治療によって、腎臓の機能を維持し、健康な生活を目指せます。腎臓病の初期症状やセルフチェックの方法、定期的な検診の重要性を解説します。
腎臓病の初期症状は以下のとおりです。
上記の症状は、他の病気でも見られることがあるため、必ずしも腎臓病であるとは限りません。しかし、複数の症状が重なっている場合、あるいは症状が長引く場合は、腎臓病の可能性も考えて、医療機関を受診することが大切です。
腎臓病は日本の成人の約8人に1人が罹患する進行性の疾患であり、心血管リスクの上昇にも関連しているため、早期発見が重要です。
腎臓病の早期発見には、セルフチェックも有効です。以下の項目をチェックしてみましょう。
項目 | チェック方法 |
むくみ | 朝起きたとき、顔や足がむくんでいないか確認する。普段履いている靴がきつくなっていないか確認する。指輪が抜けにくくなっていないか。 |
尿 | 尿の色、量、回数、泡立ちなどを確認する。特に、濃い色の尿、泡立ちの強い尿は要注意です。 |
倦怠感 | 以前と比べて疲れやすい、だるさを感じる日が続いているか確認する。家事や仕事に集中できないほどではないか。 |
食欲 | 食欲不振、吐き気がないか確認する。以前は美味しく食べられていたものが、最近あまり美味しく感じない、という場合も注意が必要です。 |
その他 | 皮膚のかゆみ、息苦しさ、動悸、めまいなどの症状がないか確認する。 |
上記の項目に当てはまるものが多い場合は、医療機関を受診し、尿検査や血液検査を受けてみましょう。
腎臓病は初期段階では自覚症状が現れにくい病気であり、定期的な検診による早期発見が重要です。健康診断では、尿検査や血液検査を行い、腎臓の機能が低下しているかを調べられます。以下に当てはまる方は、腎臓病のリスクが高いため、定期的な検診が重要です。
定期的な検診を受けることで、腎臓病を早期に発見し、適切な治療を開始できます。早期発見・治療により、腎臓病の進行を抑制し、人工透析などの腎代替療法が必要となる事態を避けられる可能性が高まります。ご自身の健康を守るためにも、年に一度は必ず健康診断を受け、腎臓の健康状態をチェックしましょう。
慢性腎臓病は自覚症状が現れにくい病気であるため、診断されたときにはすでに病気がかなり進行している場合もあります。しかし、腎臓病は進行を遅らせたり、合併症を防いだりするための治療法があります。
諦めずに、医師や医療スタッフと協力して、治療に取り組んでいきましょう。早期発見と適切な治療によって、腎臓の機能を維持し、健康な生活を目指せます。
腎臓病の治療法は、大きく分けて薬物療法、食事療法、そして病状が進行した場合には透析療法の3つです。腎臓病の進行度合いや、患者さんの状態、年齢、合併症の有無などを総合的に判断し、個別に最適な方法を組み合わせて行います。
薬物療法は、さまざまな種類の薬を用いて腎臓病の進行を抑えたり、合併症を予防したりする治療です。高血圧をコントロールする降圧剤、タンパク尿を抑えるRA系阻害薬、腎臓の炎症を抑えるステロイド薬などがあります。薬物療法は、腎臓への負担を軽くしたり、腎臓の働きを助けたりする可能性があります。
腎臓病の食事療法は、腎臓への負担を減らすために、タンパク質や塩分、カリウムやリンなどの摂取量を調整することが重要です。肉や魚などのタンパク質、カリウムの多いバナナやほうれん草、リンの多い牛乳やチーズの量を制限しましょう。塩分の取りすぎにも注意が必要です。
腎臓の働きが著しく悪くなり、体内の老廃物や余分な水分の排出が難しくなった場合は、人工的に血液をろ過する透析療法が必要です。透析療法には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
血液透析は、週に2〜3回、病院に通って、専用の機械を使って血液をろ過する方法です。腹膜透析は、自宅でお腹の中にカテーテルという管・透析液を入れて老廃物や余分な水分を除去する方法です。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、患者さんのライフスタイルや病状に合わせて最適な方法を選択します。
腎臓病の進行を遅らせ、健康な状態を維持するためには、食事療法だけでなく、生活習慣全般を見直すことが重要です。生活習慣の見直しは、腎臓病の治療だけでなく、全身の健康維持にもつながります。以下を意識しましょう。
生活習慣の改善は、腎臓病の治療だけでなく、全身の健康維持にもつながります
以下の記事では腎臓病と食生活の関係をより詳しく解説しています。
>>慢性腎臓病(CKD)を予防できる最新の食生活習慣 ~減塩と植物性タンパク質の摂取について~
腎臓病は、長期にわたる治療が必要な病気です。患者さんだけでなく、ご家族や周りの方のサポートが大切になります。定期的に病院を受診し、医師や看護師、管理栄養士や薬剤師などの医療スタッフと相談しながら、治療を進めましょう。チーム医療の一員として、患者さんの生活をサポートしていきます。
家族や友人の理解も欠かせません。腎臓病は目に見えない病気であるため、周りの人に理解してもらうことが難しい場合もあります。自分の病気について、周りの人にきちんと説明し、理解を求めることが大切です。
患者会(腎友会)に参加して、同じ病気の人たちと交流することも精神的な支えになります。市町村の窓口への相談で、腎臓病の患者さんに対する支援制度を利用できる可能性もあります。
腎臓病は、日常生活にさまざまな制限が生じる可能性のある病気です。適切な治療と生活習慣の改善、そして周りの方のサポートがあれば、腎臓病とともに、充実した生活を送れる場合があります。
腎臓病は女性に多い病気であり、女性ホルモンや妊娠・出産、生活習慣などが影響しています。特に閉経後はエストロゲンの減少により腎臓病リスクが高まるため、注意が必要です。
初期症状はむくみやだるさなど、他の病気と似ているため見逃されがちですが、早期発見・治療が大切です。セルフチェックや定期検診を積極的に活用しましょう。治療は薬物療法や食事療法、透析などがあり、患者さんの状態に合わせて最適な方法が選択されます。
腎臓に優しい生活習慣を心がけ、医療機関や周囲のサポートも得ながら、腎臓病と上手に付き合っていきましょう。
健康診断でクレアチンが高い、尿蛋白や血尿が陽性の場合は、当院の腎臓内科を受診してください。基礎疾患や腎機能のリスク因子を検査し、最適な治療プランを提案します。治療オプションは理解しやすく説明し、患者様の了承を得た上で治療方針を共に決定します。当クリニックには管理栄養士もおり、食事に関する専門的なアドバイスも受けられます。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
Ammirati AL. “Chronic Kidney Disease.” Revista da Associacao Medica Brasileira (1992) 66Suppl 1, no. Suppl 1 (2020): s03-s09.
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