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コラム
2025.07.06

【最新研究】ウゴービ®に腎臓保護効果?肥満が招く蛋白尿への影響を解説

【医師が解説】肥満は腎臓にもダメージが?ウゴービ®(セマグルチド)が腎臓を守る可能性

「肥満は体に良くない」と聞くと、多くの方は糖尿病や心臓病を思い浮かべるかもしれません。しかし、あまり知られていませんが、肥満は腎臓にも深刻なダメージを与え、「肥満関連腎臓病」という病気を引き起こすことがあります。

腎臓は一度機能が低下すると、回復が非常に難しい臓器です。しかし、最近の研究で、肥満治療薬のウゴービ®(セマグルチド)が、この腎臓へのダメージを改善する可能性が示されました。

今回は、肥満と腎臓の深い関係と、医学雑誌『Diabetes Care』に掲載されたウゴービ®の腎臓保護効果に関する重要な研究1 について詳しく解説します。

「肥満関連腎臓病」とは?なぜ太ると腎臓が悪くなるのか

肥満関連腎臓病とは、その名の通り、肥満が主な原因となって腎臓に障害が起こる病気です。

腎臓の中には「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれる、血液をろ過して尿を作るための微細なフィルターが無数にあります。肥満状態が続くと、この糸球体が過剰な負担がかかり、糸球体が肥大したり、傷ついたりします。

その結果、本来は体内に留まるべきタンパク質(アルブミン)が尿中に漏れ出てしまい(蛋白尿・アルブミン尿)、これが腎臓からの危険信号となります。この状態を放置すると、徐々に腎機能が低下し、最終的には人工透析が必要な腎不全に至ることもある、決して侮れない病気です。

朗報:減量で腎臓は守れる!ウゴービ®の腎保護効果

しかし、希望もあります。研究により、減量によって尿中に漏れ出るタンパク質が改善し、正常に戻る可能性があることがわかっています。

そこで注目されたのが、高い減量効果を持つウゴービ®です。非糖尿病の肥満・過体重の方々を対象とした大規模臨床試験(STEP試験)のデータを統合解析し、ウゴービ®が腎臓に与える影響が調査されました。

ウゴービ®が尿中タンパクを劇的に改善

研究の結果は非常に明確でした。尿中へのタンパク質の漏れ具合を示す指標「UACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)」の変化を、ウゴービ®を使ったグループと、偽薬(プラセボ)を使ったグループで比較したところ、1年後に驚くべき差が見られました。

  • 偽薬(プラセボ)群: +18.3% (悪化)
  • ウゴービ® 1.7mg群: -14.8% (改善)
  • ウゴービ® 2.4mg群: -20.6% (改善)

つまり、偽薬のグループでは腎臓からのタンパク漏出が悪化していたのに対し、ウゴービ®を使用したグループでは、用量が多いほど、より強力にタンパク漏出が抑制され、改善していたのです。
なお、腎臓の基本的なろ過機能を示す「eGFR」には、グループ間で大きな変化は見られませんでした。これは、ウゴービ®が腎機能に悪影響を与えることなく、ダメージの指標を改善したことを意味します。

この結果が意味すること

この研究は、ウゴービ®が単に体重を減らすだけでなく、肥満による腎臓への負担を直接的に軽減する「腎臓保護効果」を持つ可能性を強く示唆しています。
この効果は、体重減少そのものによる効果に加え、セマグルチドが持つ抗炎症作用などが、腎臓のフィルターに直接良い影響を与えている可能性も考えられています。

まとめ:肥満治療は、未来の腎臓を守る治療

肥満は、自覚症状がないままにあなたの腎臓を静かに蝕んでいるかもしれません。そして、尿中にタンパク質が漏れ出している状態は、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めることがわかっています。

ウゴービ®のような新しい肥満治療薬は、体重をコントロールするだけでなく、こうした未来の深刻な病気のリスクからあなたを守るための、重要な治療選択肢となり得ます。

ご自身の体重や、健康診断で尿たんぱくを指摘されたことがある方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。未来の健康を守るための治療を、一緒に始めましょう。

 

イーヘルスクリニック新宿院でのウゴービ治療

イーヘルスクリニック新宿院では、ウゴービを自由診療にて処方しています。 当院は、お忙しい方でも治療を受けやすい環境を整えています。

「近くに取り扱いのある医療機関がない」「まずは話を聞いてみたい」という方も、お気軽にご相談ください。

受付

当院では、肥満症治療薬のウゴービをはじめとするGLP-1受容体作動薬を用いた肥満症治療において、以下のようなトータルサポートを行っています。

  • 医師による安全な処方と、治療効果や体調変化に応じたきめ細やかな経過観察
  • 管理栄養士など専門家による栄養カウンセリング
  • 定期的な血液検査による副作用のチェックと、必要に応じた迅速な対応

患者様一人ひとりの状態に合わせ、安心して治療に取り組んでいただけるよう、多角的にサポートいたします。ご興味のある方は、ぜひ一度当院までお問い合わせください。

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参考文献
1. Heerspink HJL, et al. Effects of Semaglutide on Albuminuria and Kidney Function in People With Overweight or Obesity With or Without Type 2 Diabetes: Exploratory Analysis From the STEP 1, 2, and 3 Trials. Diabetes Care. 2023 Apr 1;46(4):801-810. doi: 10.2337/dc22-1889.

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