
肥満治療薬として注目される「ウゴービ®(一般名:セマグルチド)」。高い減量効果が期待される一方で、「副作用が心配で増量するのが不安…」「最大用量まで使わないと効果がないの?」といった疑問や不安を抱えている方も少なくありません。
ウゴービ®は通常、少量から開始し、段階的に最大用量の2.4mgまで増量していくのが基本的な使い方です。しかし、誰もが最大用量まで増量しているのでしょうか?
今回は、医学雑誌『Diabetes Care』に掲載されたデンマークの大規模な最新研究1 を基に、海外の「実臨床(リアルワールド)」におけるウゴービ®のリアルな使用状況をご紹介し、日本人における適切な治療法について考察します。
ウゴービ®は、GLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの薬剤です。脳の食欲中枢に働きかけて食欲を抑えたり、血糖値のコントロールを助けたりすることで、体重減少をサポートします。
治療は通常、副作用を抑えるために0.25mgという少量からスタートし、4週間ごとに0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgと段階的に増量していくことが推奨されています。
今回注目するのは、デンマークの国民約11万人ものウゴービ®使用者を対象とした、非常に大規模なコホート研究です。厳密に管理された臨床試験とは異なり、普段の診療に近い「実臨床」でのデータであるため、私たちの実態に近い非常に貴重な情報と言えます。
その結果は、多くの方がイメージするであろう「誰もが最大用量を目指す」という姿とは少し異なるものでした。
この研究は、実臨床では多くの患者さんが、推奨される最大用量まで増量していないという実態を明確に示しています。
では、なぜ多くの人が最大用量まで増量しないのでしょうか。研究では、その理由として以下の可能性が挙げられています。
日本人は欧米人と比べて、一般的にBMIが低い傾向にあります。そのため、欧米の患者さんと同じ用量を使わなくても、より少ない用量で十分な効果が得られる可能性があります。大切なのは、画一的に最大用量を目指すのではなく、一人ひとりの体格、効果の出方、副作用の有無などを丁寧に見ながら、その人にとって最適な用量(個別至適用量)を見つけることです。
このデンマークの研究結果は、日本人における治療を考える上でも非常に示唆に富んでいます。「欧米人と比較して過度な肥満がすくない日本人では1.0mgの用量継続でもいいかもしれない」という考え方は、理にかなっている可能性があります。
ウゴービ®による肥満治療のゴールは、単に最大用量に到達することではありません。患者さん一人ひとりが安全に、そして納得のいく効果を得られる用量で治療を継続することです。
今回の研究結果は、「増量しないと効果がないのでは…」という不安を和らげてくれるものです。副作用がつらい場合や、現在の用量での効果に満足している場合など、治療に関する希望や不安は、どうぞ遠慮なく医師にご相談ください。一緒にあなたにとってベストな治療法を見つけていきましょう。
イーヘルスクリニック新宿院では、ウゴービを自由診療にて処方しています。 当院は、お忙しい方でも治療を受けやすい環境を整えています。
「近くに取り扱いのある医療機関がない」「まずは話を聞いてみたい」という方も、お気軽にご相談ください。
当院では、肥満症治療薬のウゴービをはじめとするGLP-1受容体作動薬を用いた肥満症治療において、以下のようなトータルサポートを行っています。
患者様一人ひとりの状態に合わせ、安心して治療に取り組んでいただけるよう、多角的にサポートいたします。ご興味のある方は、ぜひ一度当院までお問い合わせください。
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