希望するご予約を
お選びください

×閉じる
コラム
2026.05.05

GLP-1薬を使う前に知っておきたい「脳の炎症が引き起こす食欲暴走のメカニズム」

【医師解説】「どうしても食べてしまう」のは意志の弱さではない?脳の炎症が引き起こす食欲暴走のメカニズム

イーヘルスクリニック新宿院 院長の天野です。

「頭ではわかっているのに、どうしても甘いものがやめられない」「いくら食べても満腹にならない」
診察室で、患者様からこうした切実なご相談をよく受けます。多くの方は「自分の意志が弱いからだ」とご自身を責めてしまいますが、実はそうではありません。

医学的な視点から見ると、これは意志の問題ではなく、肥満や高脂肪食によって引き起こされた「脳の炎症」が食欲のブレーキを壊してしまっている状態なのです。今回は、その中核にある「レプチン抵抗性」という現象と、糖質依存から抜け出すための具体的なアプローチについて解説します。

食欲のブレーキ「レプチン」が効かなくなる2つの関門

私たちの体には本来、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という強力な食欲抑制ホルモンが備わっています。
通常であれば、食事をして脂肪が増えるとレプチンが血流に乗って脳(視床下部)へ到達し、「もう十分エネルギーは足りているから食べるのをやめなさい」というサインを出してくれます。

しかし、高脂肪食を続けたり肥満状態に陥ったりすると、血中の過剰な脂質が脳内に微小な火事(神経炎症)を引き起こします。すると、このレプチンからのサインが、以下の2つの段階で完全に遮断されてしまうのです。

① 第一の阻害:脳の入り口(関所)で門前払いされる

血液から脳の中へ物質を運ぶためには、血液脳関門(BBB)というセキュリティゲートを通過する必要があります。ところが、全身の炎症や中性脂肪が過剰な状態になると、このゲートの機能が低下してしまいます。結果として、血中にレプチンが大量に溢れているにもかかわらず、脳の中へ物理的に入ることができなくなります。

② 第二の阻害:細胞の内部で通信が強制終了される

なんとかゲートをすり抜けて視床下部へ到達したレプチンにも、さらなる壁が待ち受けています。脳内で起きている「神経炎症」の影響で、細胞内に通信を邪魔するタンパク質(SOCS3やPTP1Bなど)が過剰に作られてしまいます。レプチンが細胞表面のアンテナ(受容体)に結合しても、細胞の内部でケーブルが切られたようにシグナルが遮断され、情報が伝わらなくなってしまいます。

脳は「餓死しそうだ」と強烈に勘違いしている

入り口で門前払いされ、内部の通信も遮断される。この結果、脳の視床下部はレプチンからの信号を完全に失います。

すると脳はどう判断するでしょうか。
目の前にいくら食べ物があり、お腹にたっぷり脂肪が蓄えられていても、「体内にエネルギーが全くない!このままでは餓死してしまう!」と深刻な誤認を起こすのです。

その結果、食欲を抑える神経(POMCニューロン)は活動を停止し、逆に食欲を猛烈に促進させる神経(AgRP/NPYニューロン)が大暴走を始めます。これが、いくら食べても満たされない異常な過食の正体です。

肥満治療(メディカルダイエット)や栄養バランスを整えるご相談はこちらから。

▼ 食生活をサポートする高品質サプリのご購入 ▼


🛒 公式オンラインショップを見る >

▼ 肥満外来・栄養指導のご相談はこちら(来院) ▼


来院予約ボタン

▼ 自宅や職場からスマホで完結(オンライン診療) ▼


オンライン診療予約ボタン

糖質依存から抜け出し、脳の炎症を鎮める4つのステップ

この恐ろしい「脳の炎症ループ」から抜け出すためには、気合いで食事を我慢するのではなく、血糖値をコントロールし、炎症を起こしにくい食習慣へシフトすることが不可欠です。

  1. 糖質の「質」を変える
    白米や白いパンなど精製された糖質は、一気に血糖値を上げ、その後の急降下で猛烈な空腹感を生みます。食物繊維が豊富で血糖値が上がりにくい「玄米」「全粒粉パン」「オートミール」などに置き換えましょう。
  2. 食べる順番の工夫(ベジファースト)
    食事の際は「野菜や海藻(食物繊維)」→「肉・魚(タンパク質)」→「最後にご飯(糖質)」の順番を徹底します。これだけで消化吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇(スパイク)を防ぐことができます。
  3. タンパク質と良質な脂質をしっかり摂る
    糖質を控える分、肉・魚・卵・大豆製品をしっかり食べましょう。タンパク質は満腹ホルモンを持続させるため、甘いものへの渇望を自然と抑えてくれます。
  4. 「液体の糖」は最大の敵
    甘いジュースやスポーツドリンクに入っている「果糖ブドウ糖液糖」は、吸収が異常に早く、最も依存性を高める要因です。水分補給は水やお茶を基本にしましょう。

「薬に頼るだけ」のダイエットが危険な理由(当院の強み)

昨今、食欲を抑える画期的な治療薬として、マンジャロなどの「GLP-1受容体作動薬」が広く知られるようになりました。
たしかにGLP-1薬は、脳に直接働きかけて食欲をコントロールする素晴らしい効果を持っています。しかし、だからといって「薬を打って食欲が落ちたから、お菓子だけ少し食べて生活しよう」というのは非常に危険です。

食事量が減った中で栄養バランスをおろそかにすると、落ちてほしくない筋肉や骨密度まで一緒に減ってしまい、結果的に「ただやつれただけ」「薬をやめた瞬間に激しくリバウンドする」という最悪の結末を招きます。

当院では、この「GLP-1療法による栄養欠乏リスク」を極めて重く受け止めています。
薬を処方して終わりではなく、筋肉や骨を維持しながら、健康的に脂肪だけを落とすための徹底した栄養サポート体制をご用意しています。

① 肥満外来(自費診療)の方へ

月1回の「無料」栄養相談

当院でメディカルダイエットに取り組まれている患者様には、月1回、無料で専門家による栄養相談を実施しています。食事量が減った中でタンパク質や鉄分をどう摂るか、サプリメントは必要かなど、個別のライフスタイルに合わせた指導を行います。

② 糖尿病治療(保険診療)の方へ

保険適用でのオンライン栄養指導

2型糖尿病の治療としてマンジャロなどのGLP-1薬を使用している方は、保険適用の範囲内でオンライン栄養指導(月1回程度)を受けることが可能です。通院の手間なく、自宅からスマホ越しに適切な食事管理と服薬サポートを受けられます。

最新の薬の力と、専門家による「正しい食事」のサポート。この両輪が揃って初めて、一生ものの健康的で太りにくい体が手に入ります。
GLP-1薬を使用中で「最近疲れやすい」「食事の偏りが不安」という方、また、ご自身の食欲コントロールに悩んでいる方は、一人で抱え込まずにぜひ当院へご相談ください。

【肥満外来・栄養外来のご案内】

メディカルダイエットに関するご相談、専門家による食事指導のご予約はこちらから。

▼ 減量中の栄養を補うサプリメントのご購入 ▼


🛒 公式オンラインショップを見る >

▼ 医師へのご相談・ご予約はこちら(来院) ▼


来院予約ボタン

▼ 自宅や職場からスマホで完結(オンライン診療) ▼


オンライン診療予約ボタン

この記事の監修者

天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)

関連記事
マンジャロの減量効果について
健康的に痩せる断食(ファスティング)ダイエット
肥満と食事の関係~痩せたいときに食べるといいものとは?~
肥満と行動変容~痩せたいとき注意するポイントとは?~
肥満による健康障害は何なのか!!と適切なダイエット方法
肥満外来での栄養指導の内容とは?
睡眠不足でカロリー摂取量が上昇?~肥満と睡眠の関係~
肥満外来(医療ダイエット外来)のオンライン診療
【WHOも推奨へ】肥満症治療の新時代──GLP-1受容体作動薬とは?
【肥満症の認可薬】ウゴービ注射とは?効果・副作用・費用を徹底解説

参考記事
新しい抗肥満薬(保険適応薬)のGLP-1受容体作動薬『ウゴービ』とは? ~特徴と使用上の注意点を解説~
糖尿病とは?内科で診てもらえる?症状や診断基準、予防、治療法まで解説
糖尿病の食事療法における栄養指導の内容とは?〜食事のポイントをご紹介〜
糖尿病を引き起こす原因とは? ~種類別の原因と予防法についてご紹介~
糖尿病ではどんな症状が出るの? 〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜
糖尿病予防のためにできることって? ~バランスのよい食事と続けやすい運動が大切~

 


イーヘルスクリニック 新宿院

この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院