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2022.09.14
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

糖尿病の合併症とは?予防と早期発見のポイントを徹底解説

糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気で、さまざまな糖尿病合併症リスクがあるため注意が必要です。自覚症状が無いまま進行し、心筋梗塞や脳卒中、腎障害などの合併症を引き起こす可能性があります。研究では、2050年までに糖尿病網膜症などが原因で6100万人以上が失明すると予測されています。

適切な血糖管理や生活習慣の見直し、定期的な検査などで糖尿病の合併症予防や進行の抑制を目指せます。この記事では、糖尿病の合併症の原因や予防、早期発見のポイントを解説します。正しい知識を身につけ、合併症のリスクを減らす行動につなげましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血圧・脂質・腎機能などを含めた総合的な管理により合併症の予防と早期発見に努めています。定期検査と生活指導を通じて、将来の心血管疾患や腎障害リスクの軽減をサポートします。気になることがあればご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病の合併症が起こる原因

高血糖は全身の血管や細胞に少しずつダメージを与え、さまざまな臓器の機能を低下させる可能性があります。合併症が起こる原因は、主に以下の3つです。

  • 血管へのダメージ
  • 細胞レベルでのダメージ
  • 免疫力の低下

高血糖は、血管の壁を傷つけ、硬くて脆い状態になる動脈硬化を進行させる可能性があります。目や腎臓などの細い血管ではダメージを受けやすく、血流を低下させ、臓器の機能低下につながります。心臓や脳、足などの太い血管では、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

研究では、糖尿病による尿細管の細胞が損傷し、細胞内のミトコンドリアの働きが低下することが報告されています。エネルギー不足や活性酸素の増加、脂質のたまりやすさなどが原因と考えられています。

糖尿病の主な合併症

糖尿病の主な合併症について、以下を解説します。

  • 三大合併症(糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症)
  • 心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・脳卒中)
  • その他の合併症(糖尿病足病変・歯周病・認知症)

三大合併症(糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症)

糖尿病の三大合併症は以下の3つです。

  • 糖尿病神経障害
  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病腎症

糖尿病神経障害は、高血糖による末梢神経の損傷が影響しやすいです。感覚神経が障害され、足先がしびれたり、熱さや痛さの感覚が鈍くなったりします。自律神経が障害されることもあり、立ちくらみや排泄障害をきたす可能性があります。

糖尿病網膜症は、目の奥にある網膜が障害され、視力低下や目のかすみ、飛蚊症などがあらわれる場合があります。初期には自覚症状が少なく進行しやすいため、定期的な眼科検診が推奨されます。

糖尿病腎症は、腎臓のフィルター機能である糸球体が、高血糖により障害されることで起こります。糸球体が損傷すると、体内に残すべきたんぱく質を尿に排泄したり、濾過機能が低下する可能性があります。初期は無症状が多く、進行するとむくみや貧血などの症状や、末期腎不全になると透析治療が必要になります。

心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・脳卒中)

高血糖は、動脈硬化を進行させ、心臓や脳の合併症をきたす可能性があります。心血管イベントの以下の4つについて、解説します。

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞
  • 脳卒中

心臓に栄養を送る冠動脈(かんどうみゃく)が動脈硬化で狭くなったり、詰まったりすると、心筋梗塞や狭心症を発症する可能性があります。急な胸の痛みや息苦しさなどの症状があります。糖尿病神経障害があると痛みを感じにくく、発見が遅れやすい無痛性心筋梗塞のリスクが高まります。

動脈硬化による脳梗塞を発症したり、血管が脆くなり脳出血を起こしたりする可能性があります。突然の片側の麻痺や、呂律が回らないなどの症状が特徴です。糖尿病の人は、健康な人に比べて、脳卒中のリスクが約2〜3倍高いという報告もあります。

その他の合併症(糖尿病足病変・歯周病・認知症)

糖尿病の影響は全身に及び、以下の合併症は生活の質を下げる可能性があります。

  • 糖尿病足病変
  • 歯周病
  • 認知症

神経障害で足の感覚が鈍くなると、靴ずれや小さな傷に気がつきにくくなります。糖尿病は動脈硬化で血流障害が起こり、傷が治りにくく、細菌感染が進行しやすい状態です。糖尿病足病変が悪化すると、潰瘍や足の組織が壊死する壊疽(えそ)につながり、切断を検討する場合もあります。

高血糖による免疫力低下で、口腔内の歯周病菌が繁殖しやすくなります。歯周病による炎症はインスリンの働きを悪くするため、血糖コントロールが難しくなります。アルツハイマー型認知症や血管性認知症を発症するリスク要因として、糖尿病が報告されています。血糖値を良好に保つことは、認知症予防にも期待できます。

合併症の予防

合併症の予防について、3つのポイントを解説します。

  • 血糖管理の目標値(HbA1c)
  • 食事・運動療法
  • 血圧・脂質の管理

血糖管理の目標値(HbA1c)

血糖管理の目標値にHbA1cを使用します。過去1〜2か月間の血糖値の平均を示す値で、HbA1cの値を目標内に保つことが、合併症予防につながります。血糖コントロールの目標値は、年齢や他の病気の有無によって異なりますが、一般的な目標を以下の表にまとめました。

状態により、適切な目標値を主治医と相談して決めることが大切です。定期的に検査を受け、治療を続けていきましょう。

以下の記事では、糖尿病の主な検査項目や基準値、診断基準について体系的に解説しています。
>>糖尿病の検査法とは?〜検査項目や基準値、診断基準についてご紹介〜

食事・運動療法

食事や運動は血糖コントロールを改善し、合併症を予防することが期待できます。食事療法のポイントは、以下のとおりです。

  • バランス良く食べる
  • 食べる順番を工夫する
  • 腸内環境を整える
  • ゆっくりよく噛む
  • 腹八分目を心がける

主食と主菜、副菜の栄養素を意識して、バランスの良い食事を心がけましょう。野菜や海藻などの食物繊維が豊富な食材から食べ始めると、糖の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えられます。食物繊維は、腸内環境を整えることに役立ちます。

ゆっくりよく噛んで食べることで、満腹中枢を刺激し、食べすぎを予防できます。必要なエネルギー量を知り、満腹まで食べすぎないようにしましょう。

運動療法は、ウォーキングなどの有酸素運動や軽い筋肉トレーニングが推奨されます。食後30分〜1時間後に行うことがおすすめです。運動前には血糖測定を行い、低血糖に注意しましょう。

血圧・脂質の管理

合併症予防では、血糖値だけでなく血圧と脂質の管理も大切です。高血糖だけでなく、高血圧や高脂血症は動脈硬化のリスクを高める要因の一つです。

高血圧は自覚症状がないまま、血管にダメージを与えます。血圧の目標値を主治医に確認し、自宅で毎日決まった時間に測定することが推奨されます。測定した血圧は、記録する習慣をつけましょう。塩分の取りすぎは高血圧の原因となるため、減塩を意識してください。

コレステロールや中性脂肪などの脂質が多い状態が続くと、動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。目標値を以下の表にまとめました。

脂質の目標値は、冠動脈疾患などの有無で異なります。血糖・血圧・脂質の3つをバランス良く管理することで、合併症予防が期待できます。

早期発見のポイント

早期発見には、定期検査とセルフチェックが大切です。合併症の早期発見と治療は、病気の進行を遅らせることが期待できます。

定期検査

糖尿病の合併症を早期発見するために、病院での定期検査は大切です。症状がないからと自己判断で検査を受けずにいると、気づいたときには合併症が進行している可能性があります。定期検査で血糖コントロールや、合併症の兆候を把握できます。検査には、以下の項目があります。

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 眼科検査

血液検査では、HbA1cや腎臓機能のeGFRやクレアチニン、コレステロールなどの脂質を検査します。尿検査は尿中アルブミンを測定し、腎症初期の発見につながります。眼科検査では、網膜症のチェックのため眼底検査を行います。

必要に応じて心電図や動脈硬化検査も検討されます。検査の頻度は個人差があるため、医師の指示に従いましょう。

自宅でできるセルフチェック

自宅でセルフチェックをする習慣も、合併症の早期発見につながります。以下のポイントを意識してみてください。

  • 足の観察(フットケア)
  • 血糖値・血圧の測定
  • 体の変化に気を配る

糖尿病神経障害が進むと、足の感覚が鈍くなります。以下の項目を、普段から観察しましょう。

  • 切り傷、すり傷、靴ずれはないか
  • やけどや水ぶくれはないか
  • 皮膚が赤くなったり、腫れたりしている部分はないか
  • 皮膚が乾燥したり、ひび割れたりしていないか
  • タコやウオノメができていないか、色が変わっていないか
  • 爪が伸びすぎていたり、皮膚に食い込んだりしていないか
  • 指の間に、湿ってただれている部分がないか

手足のしびれや目のかすみ、むくみなどの体の変化があれば、自己判断せずに主治医に相談しましょう。

合併症の治療法

糖尿病の合併症は、早期に治療を始めることで、病気の進行を遅らせる可能性があります。合併症の治療の選択肢や受診先の選び方について、解説します。

合併症別の治療選択肢

合併症ごとに治療選択肢が異なります。それぞれの主な治療を以下の表にまとめました。

糖尿病網膜症は、進行度に応じて治療を組み合わせ、視力低下や失明の進行を抑えることを目標に治療します。糖尿病腎症は、食事療法や薬物療法に取り組み、進行した場合には透析療法などの腎代替療法を検討します。

糖尿病神経障害は、血糖コントロールをしながら、しびれや痛みなどの症状緩和と進行の抑制をします。糖尿足病変は、適切なフットケアを行い、感染がある場合は抗菌薬などで治療します。潰瘍や壊疽(えそ)の進行予防のために、血行再建術を検討する場合があります。

血糖値を下げるだけでなく心臓や腎臓を守る薬もあり、治療の選択肢は広がっています。

SGLT2阻害薬は、腎機能が低下した慢性腎臓病患者でも腎保護効果が期待できることが示され、注目されています。以下の記事では、SGLT2阻害薬に関する大規模臨床試験の結果をもとに、有効性について解説しています。
>>SGLT2阻害薬の大規模臨床試験の分析|腎機能が低下した慢性腎臓病患者でも効果あり

受診先の選び方

かかりつけ医を中心に、症状に合わせて以下の専門診療科を受診しましょう。

糖尿病療養指導士という資格を持つ専門スタッフの所属確認も、病院選びのポイントです。糖尿病療養指導士には、看護師や管理栄養士、薬剤師などが専門的な視点でサポートします。安心して治療や療養の相談ができる場所を見つけることが、合併症と付き合っていくうえで大切です。

まとめ

合併症の進行予防のために日々の血糖管理とセルフケアを行い、食事や運動といった生活習慣を見直すことが大切です。血糖や血圧、脂質のコントロールを行うことで、合併症の進行を遅らせることが期待できます。合併症の種類によって治療選択肢や診療科が異なるため、各診療科との連携も必要です。

症状がなくても定期的な検査を受け、ご自宅での足の観察などを習慣にし、早期発見することが大切です。体のサインを見逃さないことが、将来の健康を守る第一歩になります。不安なことや気になる症状があれば、かかりつけ医や専門家に相談しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血糖・血圧・脂質管理に加え、必要に応じて専門科と連携し合併症の早期発見と予防に取り組みます。定期検査と丁寧なフォローで、安心して治療を継続できる体制を整えています。不安な点はお気軽にご相談ください。

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